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麻薬を禁止する政策は失敗に終わった。合法化こそ「最もまし」な解決策である。

これまでの麻薬との戦いは大失敗だった。発展途上国において破滅国家を生む一方で、先進国では麻薬の依存症が広がるばかりだった。どんなまともな基準で見ても、この100年間の苦闘は、ただ自由と人命を奪うだけの、無意味な苦闘だった。

 だからこそ本誌(英エコノミスト)は、「最もましな」対策は麻薬の合法化だと主張し続けているのである。

 「最もましな」というのは、「良い」を意味するわけではない。合法化は、麻薬の生産国には間違いなくためになるとはいえ、消費国には(従来と異なる)リスクをもたらす。以下で概説するように、弱い立場にいる多くの麻薬使用者は苦しむことになるだろう。ただし、それがプラスに働く人の方が多いというのが本誌の見解だ。

麻薬を合法化すれば、ギャングが追い払われるだけでなく、麻薬が治安の問題から公衆衛生の問題に転換される。麻薬は本来、そう捉えるべき問題なのである。

 政府は麻薬の売買に課税して規制を加え、税収(および、取り締まりに使われていた巨額の費用)を麻薬のリスクに関する教育や依存症の治療に使える。未成年者への麻薬の販売は引き続き禁止すべきだ。課税と規制のレベルは、薬物の種類によって変える。

 こうした制度は手間がかかり、欠点もあるから、継続的な監視や、判断が難しい妥協も必要になるだろう。麻薬の税込み価格は、麻薬の使用を抑制しながら、闇市場や、常用者が麻薬資金を得るために手を染める盗みや売春などを助長しない水準に設定しなければならない。

 たとえ欠点があるシステムでも、組織犯罪が重大な政治課題となっている生産国の人々には、割と簡単に受け入れてもらえるだろう。それより説得が難しいのは、依存症が政治論争の中心をなす消費国だ。

 子供を持つ米国人の中には、南米やアジア、アフリカにとっては合法化が正しい答えだと考える人も少なくないかもしれない。テロとの戦いにおける有効性を認める人さえいるだろう。しかし、親たちが何より心配するのは自身の子供のことだ。

 そうした心配は大抵、麻薬が合法化されれば使用者が増えるという推測に基づいている。しかしこの推測が正しいとは限らない。麻薬を取り締まる法律の厳しさと麻薬の使用率の間には、何ら相関関係はない。

 法律が厳しい国(米国や英国が代表的)は、むしろ使用率が高い。答えに困った禁止論者は、文化的な違いのせいだと主張する。しかし、よく似た国同士でさえ、厳しい規制は常用者の数に大きな差をもたらしていない。

 例えば、厳格なスウェーデンと、比較的自由なノルウェーでは、麻薬中毒者の割合が全く同じだ。麻薬の合法化は、(売人による)供給と需要(危険なスリルが薄れる)の両方を減らす可能性だってある。

実際、確かなことは誰にも分からない。ただし、どのような製品であれ、安価で安全、手軽になったものの販売が落ち込むと主張するのは無理がある。誠意ある合法化支持者は誰もが、全体的な麻薬の使用が増加することを想定すべきだ。

 それでも、麻薬の禁止は放棄すべきだと主張する理由が2つある。1つ目は自由主義の原則だ。いくつかの違法薬物は一部の人にとって非常に危険だが、大多数はそれほど有害ではない(タバコはほぼすべての薬物より依存性が高い)。

 また、違法薬物の消費者の大半は、時々しか使用していない。コカインやヘロインさえも例外ではない。使用する目的は楽しむためだ(ウイスキーやタバコと同じ、嗜好品というわけだ)。それをやめさせるのは、国の仕事ではない。

 では、依存症についてはどうだろうか。麻薬の害は主に使用者にもたらされるものであるから、1つ目の理由がある程度の答えになっている。ただし、依存症になれば、家族、特に子供が悲惨な目に遭う可能性があり、様々な社会コストが発生する。

 だからこそ麻薬政策では、依存症の防止と治療が優先されるべきなのだ。従って、合法化は依存症に適切に対処するチャンスをもたらす、というのが2つ目の理由になる。

 政府が各種薬物の健康へのリスクについて正確な情報を提供し、リスクに応じた価格を設定すれば、消費者は最も害の少ない麻薬に向かう可能性がある。禁止政策は、化学的に作られた脱法ドラッグの拡大を止められなかった。合法化に踏み切れば、正規の製薬会社が麻薬の改良を試みるようになるかもしれない。

 税収と、取り締まりに割り当てられていた予算は、常用者の治療に回せるだろう。これによって、麻薬の合法化は政治的にもより好ましい政策になる。先進国における喫煙抑制の成功――タバコも課税と規制の対象となった――は、こうした希望に根拠を与えてくれる。

  20年前、本誌は初めて麻薬の合法化を訴えた。再度現状を調査した結果、麻薬の禁止政策は以前にも増して有害化しており、特に世界の貧しい人々や弱者にその影響が顕著であるように見受けられる。

 もちろん、合法化したからといってギャングたちが麻薬から手を切ることはないだろう。酒やタバコの場合と同じで、税金と法律には抜け穴がある。麻薬合法化には、アフガニスタンのように破滅した国を自動的に治癒させる効果もない。

 本誌が提案する解決策は、決して簡単なものではない。それでも、過去1世紀に及ぶ明白な失敗が、あえてそれに挑戦する必要性を訴えているのである。

麻薬戦争を終わらせる方法  JBpress(日本ビジネスプレス) 

ここ、エコノミスト(英)の記事がちょくちょく読めてよい。

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